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カルチャー横断ブログメディア「UZ」

映画

『閃光のハサウェイ キルケーの魔女』 感じるということ——ニュータイプとは何だったのか

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』が2026年1月30日に劇場公開された。2021年の第一作から実に5年。この長い沈黙の後に届けられた第二章は、単なる続編ではない。それは、機動戦士ガンダムという物語が1979年の放送開始から半世紀近くに…

2026年新春:待望の続編と新作が切り拓く映像表現の地平

年末年始、私たちは何を観るべきか。この問いは単なる娯楽の選択ではなく、2026年という時間を生きる意味への問いかけでもある。今回は、2026年1月30日に公開が決定した『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』、2025年3月7日公開の『ウィキッ…

ニュー・イヤーズ・イヴ再評価 ─ 永遠への祈りとしての大晦日

はじめに──変わらないことへの切実な願い 2025年の年の瀬に『ニュー・イヤーズ・イヴ』(2011)を見て、私は初めてこの映画の本質を理解した。それは「新しい始まり」についての映画ではない。この映画が描いているのは、変わらないことへの切実な願い、「この…

「竜とそばかすの姫」再考──現代の野獣とは誰か

美女と野獣の再解釈 2021年に公開された細田守監督作品「竜とそばかすの姫」は、ディズニー映画でも知られる「美女と野獣」を現代に翻案した作品である。高知の田舎に暮らす女子高生・すずが、仮想空間「U」の中で歌姫ベルとなり、謎の存在・竜と出会う。物…

細田守『果てしなきスカーレット』──暴力の連鎖を断つ、巨匠の到達点

公開当日、X(Twitter)では酷評が相次いだ細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』。だが、この映画が描き出したものは、かつての細田作品を遥かに超えた、圧倒的な映像体験と思想的深度を持つ作品だった。シェイクスピアの『ハムレット』やダンテの『…

紀里谷和明を「観る」のではない、「浴びる」のだ。――なぜ今、『GOEMON』と『世界の終わりから』が私たちに突き刺さるのか

宇多田ヒカルの元夫・紀里谷和明。彼は嫌われていた。業界に、世間に。 しかし彼の作品そのものは、観るに値する部分があった。彼が『世界の終わりから』で描いたAIとの対話。そして世界の終わり。 彼のキャリアを振り返る上で、どうしても素通りできない二…

『ズートピア』再訪 ― 続編公開前に見つめ直す、多様性とバディの物語構造

12月に『ズートピア2』が公開される。この機会に、2016年に公開された前作『ズートピア』を改めて振り返っておきたい。なぜなら、この作品は単なる動物が擬人化されたディズニー映画ではなく、現代社会が直面する多様性・差別・共生という問題を、精緻に構築…

心に問いを残す、隠れた名作映画4選

なぜこれらの映画は「隠れた」のか 映画史には奇妙な逆説があります。最も深く心に残る作品が、必ずしも興行収入ランキングの上位に並ぶわけではない、という事実です。ここで紹介する4作品—『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』『アイ・オリジンズ』…

AIと人類補完計画——エヴァンゲリオンが予言したネットワーク時代の終着点

私たちはいま、補完されつつある 「人類補完計画」という言葉を覚えているだろうか。 庵野秀明の『新世紀エヴァンゲリオン』が放送されたのは1995年。奇しくもWindows 95が発売され、インターネットが一般家庭に普及し始めた年だ。あのとき、私たちはまだ知…

AI時代の次にくるのはロボットか? なぜ今、我々は「身体」を持つ機械の夢を見るのか——現代に観るべきロボット映画論

ChatGPTをはじめとする生成AIの爆発的な普及は、世界を根底から揺るぶった。それは「知性」が、もはや人間の専売特許ではなく、デジタル空間において無限に複製可能であり、偏在しうるものだという事実を白日の下に晒した事件であった。我々は、言語や論理、…

破綻の向こう側に見える輝き――細田守という矛盾に満ちた映像作家

「死んでも、生きる。」――冬に挑む新たな挑戦 youtu.be 2025年11月21日、細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』が公開される。「死んでも、生きる。」というキャッチコピーを掲げた本作は、復讐に燃える王女を主人公とした物語で、細田監督自ら「爽…

『攻殻機動隊』とChatGPT時代の「ゴースト」 模倣される自我の臨界点

予言としての1995年 押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)が公開されてから30年が経過した今、私たちはあの映画が描いた世界の入口に立っている。いや、むしろすでに足を踏み入れてしまったと言うべきだろう。草薙素子少佐が水面に映…

ディストピア飯が教えてくれたこと——美しく描かれる地獄について

大学の学祭に行ってディストピア飯を食べた。思わず食べてみたいと思わせるネーミングだったが、それはやはり美味しくはなかった。本日はそこでディストピアを感じる作品を紹介しようと思う。 その一口を飲み込みながら私が理解したのは、ディストピアという…

ウォン・カーウァイ、時間を撮る──『花様年華』『2046』が描いた愛の時制

実現しなかった愛が刻む、永遠の「もうすぐ」 香港の映画監督ウォン・カーウァイほど、時間というものの手触りを映像で表現することに執着した作家はいないだろう。彼の代表作である『花様年華』と『2046』を観るとき、私たちは単に物語を追っているのではな…

映画の真髄!クリストファー・ノーラン監督ベスト5

クリストファー・ノーランは現代映画界における最も独創的な映像作家の一人です。彼の作品は、複雑な時間構造、哲学的な問いかけ、そして圧倒的な映像美によって特徴づけられます。本レビューでは、彼の代表作から厳選した5作品について、その魅力と本質を深…

デヴィッド・リンチという迷宮──悪夢は現実の裏側ではなく、その本質である

夢と現実の境界を破壊し、私たちの世界認識を根底から揺さぶり続けた唯一無二の芸術家 悪夢は逃避先ではなく、現実の本質であるデヴィッド・リンチの映画を観るとき、私たちは何か根源的な不安に直面する。それは単なる恐怖ではなく、この世界そのものが持つ…

映画『ゴッホ 最期の手紙』——「見る」という行為の深淵へ

油絵が動き出す——それだけで、すでにこの映画は奇跡的な存在だ。 『ゴッホ 最期』(原題:Loving Vincent)は、世界で初めて全編を油絵で構成した長編アニメーション映画である。ポーランド出身のドロタ・コビエラとヒュー・ウェルチマンの共同監督によるこ…

真実があやふやな時代だからこそ、知るために観たい映画5選

私たちは今、かつてないほど情報に囲まれて生きている。スマートフォンを開けば、世界中のニュースが瞬時に流れ込み、SNSには無数の意見と映像が溢れている。しかしその一方で、何が真実で何が虚構なのか、判別することがますます困難になっている。ディープ…

とっておきの音楽映画5選

音楽映画には、他のジャンルにはない独特の力がある。歌や演奏は、登場人物の心を直接観客に届け、言葉では語り尽くせない感情を一瞬で伝える。そして優れた音楽映画は、観終わったあともメロディが頭に残り続け、気づけば自分の人生と重なり合っていく。 こ…

絶望と希望のはざまで観たい映画 6選

—人間の深淵に触れたとき、そこに微かな光はあるのか— 人生には、どうしようもなく重い夜がありますよね。すべてが嫌になって、明日が見えなくて、心の奥が重たく沈んでいるような、そんな時間。でも不思議なことに、そんな夜だからこそ観たくなる映画がある…

恋とは、愛とは何か? 映画『ビフォア』シリーズに観る恋愛の真実

時間とともに変化する愛の物語 恋愛映画の歴史のなかで、リチャード・リンクレイター監督の「ビフォア」シリーズほど、時間と感情を誠実に描き続けた作品は稀です。『ビフォア・サンライズ』(1995)、『ビフォア・サンセット』(2004)、『ビフォア・ミッド…

恋に落ちた夜に観たい映画 5選

—あなたの恋をもっと輝かせてくれる、とっておきの名作たち— 恋をしている時の世界って、いつもとは全然違って見えませんか?歩いている道も、聞こえてくる音楽も、街角の小さなカフェでさえ、まるで映画のワンシーンみたいにキラキラして見える。そんな特別…

AI時代の到来を予言した映画5本──スクリーンが描いた未来と、私たちが生きる現実の交差点

映画は未来を「創造」する装置なのかもしれない 「SF映画なんて全然見ない」「AIの映画って難しそう」——そんなふうに思っていませんか? 実は、私たちが今当たり前のように使っているスマホのSiri、Google検索、ChatGPTといったAI技術の数々は、何十年も前の…