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カルチャー横断ブログメディア「UZ」

マンガ・アニメ

未完という形式が照らし出す「本当の悲劇」——『NANA』と『昴/MOON』が終われない理由

序論:完結という暴力 物語が終わるとき、そこには必ず「意味の確定」が起こる。登場人物たちの苦しみは「乗り越えられた試練」となり、死は「物語的必然」へと回収され、悲劇は「カタルシス」という名の快楽に変換される。アリストテレスが『詩学』で定義し…

2026年新春:待望の続編と新作が切り拓く映像表現の地平

年末年始、私たちは何を観るべきか。この問いは単なる娯楽の選択ではなく、2026年という時間を生きる意味への問いかけでもある。今回は、2026年1月30日に公開が決定した『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』、2025年3月7日公開の『ウィキッ…

手塚治虫「火の鳥」と藤子・F・不二雄「ドラえもん」が時代を超越できた理由——時間と向き合う漫画の想像力

はじめに:なぜ昔の漫画は色褪せないのか 2025年の今、手塚治虫の「火の鳥」を読んでも、藤子・F・不二雄の「ドラえもん」を読んでも、作品が古びていないことに驚かされる。むしろ、現代の私たちが直面している問題——AI、環境破壊、戦争、生命倫理——を予見…

新井英樹『The World Is Mine』は2025年の熊被害を予見していたのか——物語が現実化する時

2025年、熊が「怪物」になった 2025年11月、環境省が発表したクマによる死傷者数は196人に達し、統計開始以来最悪のペースで推移している。死者は12人。これは過去最多だった2023年度の6人を大きく上回る数字だ。しかも被害の質が変わってきている。長野県飯…

「竜とそばかすの姫」再考──現代の野獣とは誰か

美女と野獣の再解釈 2021年に公開された細田守監督作品「竜とそばかすの姫」は、ディズニー映画でも知られる「美女と野獣」を現代に翻案した作品である。高知の田舎に暮らす女子高生・すずが、仮想空間「U」の中で歌姫ベルとなり、謎の存在・竜と出会う。物…

NARUTO、呪術廻戦にみるAKIRAの残滓

はじめに――少年漫画に刻まれた予言の書 大友克洋の『AKIRA』が1982年に連載を開始してから40年以上が経過した。しかし、この作品が日本の少年漫画に刻んだ傷痕は、いまだに癒えることなく、むしろ時を経るごとに深化している。『NARUTO』『呪術廻戦』という…

なぜ今バナナフィッシュが再評価されているのか? 原作を振り返る

2018年のアニメ化を契機に、吉田秋生の『BANANA FISH』が新たな読者層を獲得し、再び注目を集めている。1985年から1994年にかけて『別冊少女コミック』で連載されたこの作品が、なぜ30年以上の時を経て現代の読者の心を掴んでいるのか。その理由を探るには、…

細田守『果てしなきスカーレット』──暴力の連鎖を断つ、巨匠の到達点

公開当日、X(Twitter)では酷評が相次いだ細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』。だが、この映画が描き出したものは、かつての細田作品を遥かに超えた、圧倒的な映像体験と思想的深度を持つ作品だった。シェイクスピアの『ハムレット』やダンテの『…

『ズートピア』再訪 ― 続編公開前に見つめ直す、多様性とバディの物語構造

12月に『ズートピア2』が公開される。この機会に、2016年に公開された前作『ズートピア』を改めて振り返っておきたい。なぜなら、この作品は単なる動物が擬人化されたディズニー映画ではなく、現代社会が直面する多様性・差別・共生という問題を、精緻に構築…

AIと人類補完計画——エヴァンゲリオンが予言したネットワーク時代の終着点

私たちはいま、補完されつつある 「人類補完計画」という言葉を覚えているだろうか。 庵野秀明の『新世紀エヴァンゲリオン』が放送されたのは1995年。奇しくもWindows 95が発売され、インターネットが一般家庭に普及し始めた年だ。あのとき、私たちはまだ知…

破綻の向こう側に見える輝き――細田守という矛盾に満ちた映像作家

「死んでも、生きる。」――冬に挑む新たな挑戦 youtu.be 2025年11月21日、細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』が公開される。「死んでも、生きる。」というキャッチコピーを掲げた本作は、復讐に燃える王女を主人公とした物語で、細田監督自ら「爽…

『攻殻機動隊』とChatGPT時代の「ゴースト」 模倣される自我の臨界点

予言としての1995年 押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)が公開されてから30年が経過した今、私たちはあの映画が描いた世界の入口に立っている。いや、むしろすでに足を踏み入れてしまったと言うべきだろう。草薙素子少佐が水面に映…

ディストピア飯が教えてくれたこと——美しく描かれる地獄について

大学の学祭に行ってディストピア飯を食べた。思わず食べてみたいと思わせるネーミングだったが、それはやはり美味しくはなかった。本日はそこでディストピアを感じる作品を紹介しようと思う。 その一口を飲み込みながら私が理解したのは、ディストピアという…

『薬屋のひとりごと』が映す、知と権力のジェンダー構造

知性が武器となる場所 日向夏による小説『薬屋のひとりごと』は、中華風の架空帝国を舞台に、薬師見習いの少女・猫猫が後宮で巻き起こる謎を解いていく物語である。一見すると、美しい宮廷を背景にしたミステリーエンターテインメントに思えるこの作品は、し…

思春期は、観測されると痛い——『青春ブタ野郎』が描いた、存在の揺らぎと救済

教室の窓から見える午後の光。 机の上に置かれたスマートフォン。 誰かの「既読」がつかないまま夜を迎える。 ——そんな日々の小さな違和感を、もし"世界のバグ"として描いたらどうなるだろう。 『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(通称「青ブ…

『チェンソーマン』が笑う資本主義——デンジはなぜ"普通"を夢見るのか

藤本タツキの『チェンソーマン』は、表面的には悪魔と戦うデビルハンターたちの物語だ。しかし、この作品の本質は別のところにある。それは、現代社会における「普通の幸せ」とは何か、そして私たちの欲望がどのように作られているのかを、驚くほど鋭く描き…

ジャンプからジャンプ+へ。人気漫画はネットから誕生する!

かつて「週刊少年ジャンプ」は単なる娯楽雑誌を超えた文化的装置だった。月曜日の教室で『ドラゴンボール』の最新話が語られ、『SLAM DUNK』のシーンが真似され、『ONE PIECE』の展開が予想された。それは共通体験を生み出す社会的メディアであり、同世代の…

『ケントゥリア』が心を掴んで離さない理由――奴隷少年と予言の子が紡ぐ、希望と絶望の物語

なぜ今、この漫画に注目が集まっているのか 「母親に売られた奴隷の少年が、死にゆく女性から赤ん坊を託され、その子を守るために戦い続ける」 『ケントゥリア』の物語を一言で表すなら、こうなるだろう。しかしこの作品の本当の魅力は、このシンプルな筋書…

宮崎駿。漫画版『風の谷のナウシカ』が伝えたかったこと

宮崎駿による漫画版『風の谷のナウシカ』は、映画版とはまったく異なる「終末思想の書」として読むべき作品だ。映画が“人と自然の共生”という普遍的なテーマを描いた寓話だとすれば、漫画版は“人間とは何か”という存在論的な問いを突き詰めた哲学的黙示録で…

ベルセルクとケントゥリア——闇に熱を宿す者たちへ

ダークファンタジーという言葉は、いつの間にか単なる“暗い物語”の代名詞になってしまった。しかし本来の意味は、光のなかに潜む闇を暴くことではなく、闇のなかに光を見出すことにある。 そして今、その真意を体現しているのが、時代を越えて読み継がれる『…

バンドも恋も人生も——音楽漫画の名作5選

音楽は、漫画という静止した媒体において最も表現が困難なテーマの一つである。音のない世界で音楽を描くという矛盾。しかし、だからこそ優れた音楽漫画は、視覚表現の限界を超えて読者の心に「音」を響かせることに成功してきた。ここで紹介する5作品は、そ…

人生観を変える8つの名作マンガ

――スマホ世代こそ読むべき、思考を揺さぶる漫画の傑作たち 「漫画なんて子どもの読み物でしょ」 もしあなたがそう思っているなら、この記事を読んだ後、その認識は完全に覆されるでしょう。ここで紹介する8作品は、単なる娯楽ではありません。人間存在の根本…