マンガ・アニメ
私たちはいま、補完されつつある 「人類補完計画」という言葉を覚えているだろうか。 庵野秀明の『新世紀エヴァンゲリオン』が放送されたのは1995年。奇しくもWindows 95が発売され、インターネットが一般家庭に普及し始めた年だ。あのとき、私たちはまだ知…
「死んでも、生きる。」――冬に挑む新たな挑戦 youtu.be 2025年11月21日、細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』が公開される。「死んでも、生きる。」というキャッチコピーを掲げた本作は、復讐に燃える王女を主人公とした物語で、細田監督自ら「爽…
予言としての1995年 押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)が公開されてから30年が経過した今、私たちはあの映画が描いた世界の入口に立っている。いや、むしろすでに足を踏み入れてしまったと言うべきだろう。草薙素子少佐が水面に映…
大学の学祭に行ってディストピア飯を食べた。思わず食べてみたいと思わせるネーミングだったが、それはやはり美味しくはなかった。本日はそこでディストピアを感じる作品を紹介しようと思う。 その一口を飲み込みながら私が理解したのは、ディストピアという…
知性が武器となる場所 日向夏による小説『薬屋のひとりごと』は、中華風の架空帝国を舞台に、薬師見習いの少女・猫猫が後宮で巻き起こる謎を解いていく物語である。一見すると、美しい宮廷を背景にしたミステリーエンターテインメントに思えるこの作品は、し…
教室の窓から見える午後の光。 机の上に置かれたスマートフォン。 誰かの「既読」がつかないまま夜を迎える。 ——そんな日々の小さな違和感を、もし"世界のバグ"として描いたらどうなるだろう。 『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(通称「青ブ…
藤本タツキの『チェンソーマン』は、表面的には悪魔と戦うデビルハンターたちの物語だ。しかし、この作品の本質は別のところにある。それは、現代社会における「普通の幸せ」とは何か、そして私たちの欲望がどのように作られているのかを、驚くほど鋭く描き…
かつて「週刊少年ジャンプ」は単なる娯楽雑誌を超えた文化的装置だった。月曜日の教室で『ドラゴンボール』の最新話が語られ、『SLAM DUNK』のシーンが真似され、『ONE PIECE』の展開が予想された。それは共通体験を生み出す社会的メディアであり、同世代の…
なぜ今、この漫画に注目が集まっているのか 「母親に売られた奴隷の少年が、死にゆく女性から赤ん坊を託され、その子を守るために戦い続ける」 『ケントゥリア』の物語を一言で表すなら、こうなるだろう。しかしこの作品の本当の魅力は、このシンプルな筋書…
宮崎駿による漫画版『風の谷のナウシカ』は、映画版とはまったく異なる「終末思想の書」として読むべき作品だ。映画が“人と自然の共生”という普遍的なテーマを描いた寓話だとすれば、漫画版は“人間とは何か”という存在論的な問いを突き詰めた哲学的黙示録で…
ダークファンタジーという言葉は、いつの間にか単なる“暗い物語”の代名詞になってしまった。しかし本来の意味は、光のなかに潜む闇を暴くことではなく、闇のなかに光を見出すことにある。 そして今、その真意を体現しているのが、時代を越えて読み継がれる『…
音楽は、漫画という静止した媒体において最も表現が困難なテーマの一つである。音のない世界で音楽を描くという矛盾。しかし、だからこそ優れた音楽漫画は、視覚表現の限界を超えて読者の心に「音」を響かせることに成功してきた。ここで紹介する5作品は、そ…
――スマホ世代こそ読むべき、思考を揺さぶる漫画の傑作たち 「漫画なんて子どもの読み物でしょ」 もしあなたがそう思っているなら、この記事を読んだ後、その認識は完全に覆されるでしょう。ここで紹介する8作品は、単なる娯楽ではありません。人間存在の根本…