自分の小説を、AIに漫画化させてみた。使ったのは「MangaNow」という日本発のAI漫画プラットフォームである。テキストやURLを放り込むと、物語の構成からコマ割り、作画までをAIが一気に引き受けて、漫画の体裁をした「作品」を出力してくる。触ってみた感想…
蛇口をひねっても知性が出てこない 2026年6月12日、奇妙なことが起きた。世界最高峰と言われるAI、AnthropicのClaude Fable 5とMythos 5が、突然使えなくなったのだ。理由はサーバー障害でもバグでもない。アメリカの輸出管理規制である。米政府が「外国籍の…
7月3日 7月3日に、村上春樹の新しい長編が出る。 『夏帆 The Tale of KAHO』。『街とその不確かな壁』から3年ぶり、16作目の長編小説。村上春樹の長編としては初めて、女性が単独の主人公になるという。26歳の絵本作家。「正直いって、君みたいな醜い相手は…
マイケル・ジャクソンについて書くことは、80年代のアメリカについて書くことだ。そしてそれは、ショービジネスというシステムが人間に何を約束し、何を奪ったかについて書くことでもある。 約束の証明 1982年、『スリラー』が世界を飲み込んだとき、そこに…
2012年にリリースされた曲が、2026年に世界中で踊られている。 サカナクションの「夜の踊り子」が、いま異常な速度でチャートを駆け上がっている。Spotifyトップ50で1位、オリコンデイリーストリーミング1位、Apple Musicジャパンのトップソング1位。14年前…
思えば私はずっと、手の届かない女性に心を奪われてきた。めぞん一刻の音無響子、ティファニーで朝食をのホリー・ゴライトリー——亡き夫への愛という絶対的な壁の向こうに立つ女性と、傷を軽やかさで包んで誰にも触れさせない女性。手が届かない理由はそれぞ…
ミランダは権威だった 2006年の映画『プラダを着た悪魔』を初めて観た人間が、ミランダ・プリーストリーという人物に感じるのは畏怖と嫌悪の混ざった感情だ。ファッション誌「ランウェイ」の編集長として君臨するミランダは、静かな声で人を壊す。怒鳴らない…
これまで疑問に思ってきた。 小説は嘘だ。 誰もがそれを知っている。デュマの三銃士にアトス、ポルトス、アラミスは実在しない。チェンソーマンのデンジは生きていない。ハリー・ポッターが通ったホグワーツには、実際の住所がない。 それなのに、人は泣く。…
今、ふたたび『ズートピア』 2016年に公開されたオリジナル『ズートピア』は、ディズニーアニメーションが成し遂げた奇跡的な傑作だった。表層的には「肉食と草食が共存する動物都市」を舞台にしたバディ・コップ映画だが、その実態は現代アメリカの偏見・差…
『ノルウェイの森』は、「優柔不断な男の三角関係の話」として読まれることがある。ワタナベは直子を愛しながら、緑とも深く関わっていく。どちらを選ぶのか、なぜ決められないのか——読者がそう問いを立てるのは自然なことだ。しかし村上春樹は、その問いを…
Claude CodeとMacを活用し、電気代程度のコストでWebサービスを開発する新しい時代の到来を解説。GAFA主導のプラットフォーム時代から、個人が再び自由にインターネットを駆け巡る「AI革命」の可能性を探ります。
古いMeta Quest 2を引っ張り出してきて、VRの中に開発環境を作ろうとした。正直に言えばMeta Questで開発はまだ早い。でも確実に未来の輪郭が見えた。 USB一本から始まる Meta Quest 2の正体はAndroidベースのスタンドアロン端末だ。MacBookからUSB Type-Cで…
Netflix実写版『ONE PIECE』シーズン1・2を視聴して感じた「漫画の現実化」について考察。ナミの涙が画面に現れたとき、なぜ私たちは驚愕し、涙するのか。原作の記憶が肉体を持つ体験と、実写化における解釈の是非を深く掘り下げます。
高評価を叩き出した映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を徹底考察。豪華制作陣が描く宇宙の暗闇と、主人公が直面する「孤独」の真意とは?単なる面白さを超えた、本作が本当に描こうとした物語の構造と、観るべき理由を深く掘り下げます。
2026年3月25日、チェンソーマン第2部が完結した。 第232話をもって「学園編」は幕を閉じた。チェーンソーマンは世界から消え、残ったのはアサとデンジの淡い恋心だけだった。 ネット上では戸惑いの声が広がった。「series finale」という海外公式の表現が波…
伴名練の短編『なめらかな世界と、その敵』を考察。並行世界を自在に行き来する設定を通じ、現代人がインターネットで感じる「万能感」をどう文学的に表現しているのか。作品の魅力と、私たちが既に生きている「なめらかな世界」の正体に迫ります。
uz-media.com 前回、macOSのTerminalについて書いた。UNIXの血統、Homebrewの生態系、そしてAIがターミナルに棲みついた2025年以降の風景。あれはエンジニア志望の人に向けた話だったが、今回はもう少し広い射程で、Macを使っているすべての人に向けて書きた…
映画『ウィキッド ふたりの魔女』(2024年)と『ウィキッド 永遠の約束』(2025年)は、ブロードウェイで20年以上愛され続けてきたミュージカルの映画化作品だ。原作は『オズの魔法使い』——あの、カンザスの少女ドロシーが竜巻に飛ばされてオズの国へたどり…
感情というものを、私たちはずっと誤解してきた。怒りは抑えるべきもの、悲しみは克服すべきもの、そして幸福こそが人生の正解——そういう素朴な信念を、私たちは疑いもなく内面化してきた。だが2015年にピクサーが公開した『インサイド・ヘッド』は、そのす…
宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』に対し、「意味がわからなかった」という感想が広がったのはなぜか。本作が「説明」を捨て、「体験」へとシフトした理由を考察。映画の本質と、受け手が直面した不可解さの正体に迫ります。
山口一郎はずっと80年代を引きずってきた。 シンセの音色、ニューウェーブの残響、ダンスミュージックの皮膚感覚。サカナクションの音楽にはつねに、すでに終わった時代の匂いが混じっている。私はそれを、批評的な文脈で「退行」と呼んできた。過去に帰還す…
村上春樹の最高傑作『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』には、壁に囲まれた街が登場する。影を奪われた人々が静かに暮らすその街は、読者の記憶に深く刻まれる。ある種の既視感とともに。ところでこの「壁に囲まれた街」にはモデルがあったので…
Appleが発表した「MacBook neo」。MチップではなくiPhone用のAチップを搭載し、599ドルという低価格を実現したこのモデルは、Macの在り方に何を問いかけるのか。30年のユーザーとして、その哲学的意味と創作への影響を考察します。
フランシス・フォード・コッポラが自己資金1億2000万ドルを投じて完成させた『メガロポリス』(2024)は、興行的に壊滅し、批評的に分裂した。北米興行収入は製作費の12%にも満たず、ラジー賞まで贈られた。だがそのことは、この映画が傑作であるという事実…
小説を書くとき、最も孤独な瞬間はどこにあるか。それは白紙に向かう瞬間ではない。書き上がった文章を自分一人で読み返す、あの沈黙の中にある。書いた自分と読む自分が同一人物である限り、盲点は盲点のまま残り続ける。誰かに読ませたい。でもまだ見せら…
映画において、最も強烈な人間関係は、たいてい血縁の外にある。 師弟。戦友。同志。名前のつけられない関係。それらは「血縁を超えた絆」などと呼ばれることがある。しかしその言い方自体がおかしいのではないか。「超えた」という表現は、血縁が本来の関係…
はじめに──破壊が意味を持っていた時代 1980年、村上龍は『コインロッカー・ベイビーズ』を世に放った。 コインロッカーに捨てられた二人の少年、ハシとキク。彼らが求めたのは「ダチュラ」——すべてを破壊する音だった。東京という巨大な工業都市を、音で、…
エンジニア志望のあなたに伝えたい、コマンドラインの世界 僕はかれこれ25年ほどmacOSを使っている。 正確に言えば、最初に触ったのはiMacで、インターネットを使うのが目的だった。 それから25年。コンピュータの進歩とともに、Macはずっとそこにあった。 i…
はじめに —— 影響関係を逆転させるという視点 アニメ史を語るとき、私たちはしばしば時系列に沿った影響関係を想定する。1979年の『機動戦士ガンダム』が1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』に影響を与えた、という語りは確かに妥当である。 しかし、ここで…
偶然の旅人——フィクションが現実を追い越す場所 村上春樹の数多い著作の中で、『東京奇譚集』は長いこと残り続ける作品ではないかという予感がある。それは単なる直感ではなく、この連作短編集を読むたびに強くなる確信に近い。なぜなら、ここには「技術」と…