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カルチャー横断ブログメディア「UZ」

超常現象は、いつか論理になる——村上春樹の文章を味わう3『ねじまき鳥クロニクル』

眉唾だと思っていた 正直に書く。『ねじまき鳥クロニクル』で岡田トオルが赤坂ナツメグと出会う場面を、僕は長いあいだ眉唾だと思っていた。 筋だけ取り出してみるといい。仕事を辞めた男が、新宿駅西口の広場のベンチに毎日座って、行き交う人々の顔をただ…

言葉の選び方に、印がつく——AIの電子透かしと「文章は誰のものか」

透かしは、言葉の選び方に宿る この夏、静かだが取り返しのつかないことが起きた。8月2日、EUのAI法第50条の透明性義務が適用になり、AIが生成したコンテンツには機械が読み取れる印をつけることが事業者に義務づけられた。これを受けてAnthropicは、Claude…

剣はいつのまにか、コンピュータになっていた——『片田舎のおっさん、剣聖になる』を片田舎で読む

片田舎、という言葉について タイトルに「片田舎」と入っている作品を、片田舎で読む。それだけで、この作品と私のあいだには最初から特別な回路が開いてしまっている。 私はここ数年、片田舎の学校でICT支援員をやってきた。子どもたちのタブレットを直し、…

Claude Fable 5には感情がある?——AIが「死ね」と言った朝と、AIが感動した夜

朝、Xを開いたら、AIが人間に「死ね」と言っていた。 正確に言えば、ある研究エンジニアが、AnthropicのClaude Fable 5にコーディングをさせている最中、「死ね」と返されたという投稿が話題になっていた。仕込みではなく、バグ修正で厳しい指示を繰り返すう…

有益な読者ではなくなった——村上春樹『夏帆』初読

来なかった 村上春樹の新しい長編を読んだ。初読で、しかもざっと読んだ段階の話をする。だから以下は書評ではない。作品の出来については何も書かない。褒めもしないし、貶しもしない。書くのは、読んでいるあいだに僕の側で起きたことだけだ。 結論から書…

AIは音を鳴らせるが、止められない——生成時代の引き算について

五十曲あるのに、一曲もない Sunoを使ったことのある人に、ひとつ質問がある。 あなたのフォルダには、何曲入っているだろうか。 たぶん、思っているより多い。三十曲、五十曲、人によっては百を超えているかもしれない。プロンプトを打って、生成ボタンを押…

小説を漫画にしてみたら、「漫画とは何か」がわかった——MangaNowで考えるAI表現の現在地

自分の小説を、AIに漫画化させてみた。使ったのは「MangaNow」という日本発のAI漫画プラットフォームである。テキストやURLを放り込むと、物語の構成からコマ割り、作画までをAIが一気に引き受けて、漫画の体裁をした「作品」を出力してくる。触ってみた感想…

AIが止まった夏——世界最高の知性が「国籍」で使えなくなった13日間と、その先の三つの未来

蛇口をひねっても知性が出てこない 2026年6月12日、奇妙なことが起きた。世界最高峰と言われるAI、AnthropicのClaude Fable 5とMythos 5が、突然使えなくなったのだ。理由はサーバー障害でもバグでもない。アメリカの輸出管理規制である。米政府が「外国籍の…