UZ -browse the shift-

カルチャー横断ブログメディア「UZ」

小説を漫画にしてみたら、「漫画とは何か」がわかった——MangaNowで考えるAI表現の現在地

自分の小説を、AIに漫画化させてみた。使ったのは「MangaNow」という日本発のAI漫画プラットフォームである。テキストやURLを放り込むと、物語の構成からコマ割り、作画までをAIが一気に引き受けて、漫画の体裁をした「作品」を出力してくる。触ってみた感想…

AIが止まった夏——世界最高の知性が「国籍」で使えなくなった13日間と、その先の三つの未来

蛇口をひねっても知性が出てこない 2026年6月12日、奇妙なことが起きた。世界最高峰と言われるAI、AnthropicのClaude Fable 5とMythos 5が、突然使えなくなったのだ。理由はサーバー障害でもバグでもない。アメリカの輸出管理規制である。米政府が「外国籍の…

村上春樹という目印——『夏帆』の発売を待ちながら

7月3日 7月3日に、村上春樹の新しい長編が出る。 『夏帆 The Tale of KAHO』。『街とその不確かな壁』から3年ぶり、16作目の長編小説。村上春樹の長編としては初めて、女性が単独の主人公になるという。26歳の絵本作家。「正直いって、君みたいな醜い相手は…

ショービジネスのアメリカ、あるいはマイケル・ジャクソンの身体について

マイケル・ジャクソンについて書くことは、80年代のアメリカについて書くことだ。そしてそれは、ショービジネスというシステムが人間に何を約束し、何を奪ったかについて書くことでもある。 約束の証明 1982年、『スリラー』が世界を飲み込んだとき、そこに…

サカナクション「夜の踊り子」はなぜ14年後に世界で踊られたのか?——ミームが証明した音楽の時差

2012年にリリースされた曲が、2026年に世界中で踊られている。 サカナクションの「夜の踊り子」が、いま異常な速度でチャートを駆け上がっている。Spotifyトップ50で1位、オリコンデイリーストリーミング1位、Apple Musicジャパンのトップソング1位。14年前…

「気になる来見さん!」——救済と執着、そして愛の本質について

思えば私はずっと、手の届かない女性に心を奪われてきた。めぞん一刻の音無響子、ティファニーで朝食をのホリー・ゴライトリー——亡き夫への愛という絶対的な壁の向こうに立つ女性と、傷を軽やかさで包んで誰にも触れさせない女性。手が届かない理由はそれぞ…

歴史は、間違う――『プラダを着た悪魔』と『プラダを着た悪魔2』、そして評価の終わりについて

ミランダは権威だった 2006年の映画『プラダを着た悪魔』を初めて観た人間が、ミランダ・プリーストリーという人物に感じるのは畏怖と嫌悪の混ざった感情だ。ファッション誌「ランウェイ」の編集長として君臨するミランダは、静かな声で人を壊す。怒鳴らない…

嘘は、現実より誠実だ ――フィクションと心について

これまで疑問に思ってきた。 小説は嘘だ。 誰もがそれを知っている。デュマの三銃士にアトス、ポルトス、アラミスは実在しない。チェンソーマンのデンジは生きていない。ハリー・ポッターが通ったホグワーツには、実際の住所がない。 それなのに、人は泣く。…